骨折はいつ治るの?
院長の高田です。
初めてのブログです。いたならないところもあると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
現在のクリニックの状況ですが、そろそろ内装業者さんからの引き渡しというフェーズに入ってきています。
このブログでは患者の皆様から診察中によく聞かれることや整形外科あるあるをテーマに書いていきたいと思います。
できるだけ簡単な言葉で一般的な話をしたいと思いますので、医学的には厳密には間違っていることもあるかもしれませんが、ご了承ください。
また個々のケースには当てはまらないこともよくありますので、ご自身のご病状について気になる方はどうぞ診察を受けていただければと思います。
今回のテーマは、「骨折はいつ治るの?」です。
骨折は、私たち整形外科医がもっともよく目にするケガの一つです。
レントゲンなどの検査を行い、骨折が判明した時、不安そうなご家族から必ず聞かれることがあります。
「先生、いつ治りますか?」
よく聞かれるこの質問は、非常に答えにくい質問の一つであります。
まず「治る」の定義は何か、という問題があります。
多くの患者さんにとって「治る」=「痛みや腫れなどの症状が全くなく、ケガや病気をする前の状態に戻ること」を意味することが多いです。
一方、多くの整形外科医にとって「骨折が治る」とは、「目立った変形を残さず、骨が癒合する(くっつく)こと」を意味します。
そういう意味でいうと、骨が癒合する一般的な期間は、小児は2~3か月、成人は3~5か月ほどです。
ただ残念ながら、骨が癒合したからといって、骨折の症状すべてがなくなるわけではありません。
具体的な骨折の合併症として、
- 骨折部の近くの関節が硬くなる
- 動かせない間に筋力が落ちる
- 痛みやしびれが残る
- 腫れが残る(逆に、筋肉がやせて細くなることも)
- 肌の色の変化が戻らない
- 神経の麻痺症状が残る
などが挙げられます。
またスッキリ治ったと思っていても、後々になって変形が目立ってきたり、神経の麻痺症状が出ることもあります。(特に子供の頃の骨折の場合)
もっと言うと骨が癒合しないケースやバイ菌感染に至るケースもあり、そういった症例では治療に10年単位の時間がかかることもごく稀にあります。
こういった合併症をできるだけ回避し、少しでも症状を緩和するために、定期的にレントゲン検査をチェックしたりリハビリテーションを行ったりしています。
皆様も心配なことや不安なことがあれば、どうぞご質問ください。
それでは、本日のまとめです。
骨折と診断したときの
「先生、いつ治りますか?」
の私のお返事としては、
「成人の場合、骨は3か月ほどでくっつくことが多いです。ただし、痛みや腫れ、関節の動きなどの全ての症状がスッキリするのにはもう少し時間がかかるます。また骨がくっつかないケースもありますので、慎重に経過をみていきましょう。」となります。
皆さんが期待しているようなハッピーなお返事ができなくて大変残念ですが、よくない合併症を知っているからこそ細心の注意をはらい、診察に臨んでいます。
また、次のブログでお会いしましょう。